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『いのちと放射能』輪読会報告         半沢英一



くるま座隔週金曜夜輪読会は第11番目のテキストとした柳澤桂子『いのちと放射能』を11月25日三回目で読み切ります。

第2番目のテキストだったアマルティア・セン『アイデンティティに先行する理性』を四回で読み上げたのが最短記録だったので、今回記録が更新されたことになります。まだ一回残っていて早いようですが報告を出させてもらいます。
 

今世紀後半に分子生物学が確立され、私たち人類の自分たちを含む地球生命に対する知識は、それまでと比較にならない深度(底かも知れない)に達しました。それにもかかわらず私たちの哲学的世界観には旧態依然たるものがあります。私には、人類はこれから滅びるまで何のためにどうやって生きていくのかを、考えるべき、また考えられる地点にまで来たように感じられます。『いのちと放射能』を、そういったことを考える叩き台になる本としてテキストに選ばせていただきました。

 柳澤さんは人類を含む生命が原発の生む大量の放射能と共存できない所以を分子生物学の立場から説かれます。柳澤さんのいわんとしているところを私なりの表現でまとめれば次のようになると思います。

 人間は一時に6~7シーベルト被曝すると短期間のうちに100%死ぬことが分かっています。ところがそのときどのぐらいのエネルギーを受けたかというと、ガンマ線でいえば6~7グレイ、すなわち1キログラム当たり6~7ジュールに過ぎません。1ジュールは約0.24カロリーですから体重60キログラムの人で86~101カロリー(キロカロリーじゃないですよ)受けたに過ぎません。そんな低エネルギーにもかかわらずなぜ死ぬのか。その理由は分子生物学が明らかにした生命の本質を見るとよく分かります。

 分子生物学が明らかにした生命の実体はDNAです。ご存じと思いますがDNAはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という四つの塩基がつながって出来ており、通常は別のDNAと、AとT、GとCが対応した形で二重らせんをなして細胞の中に存在しています。そして生命活動とはタンパク質の生成、細胞の分裂、新たな生命体を生み出す生殖が基本になりますが、このすべてにおいてDNAは二重らせんをほどき、DNAの場合はメッセンジャーRNAにコピーされ、細胞分裂や生殖(減数分裂)の場合は対のDNAをコピー創出して二本の二重らせんとなります。すなわち生命の本質はDNAにおける塩基の順序に表現された情報が、コピーされて増殖されていくことにあります。

 ところが二重らせんがほどけたとき、そこに放射線が当たると塩基の順序は簡単におかしくなります。そしてDNAのコピーは化学反応として自動的になされるので、その微少な狂いは膨大な数に増幅され、タンパク質や細胞分裂への巨視的な狂いを生じさせます。これがエネルギーが微小でも生命をおびやかすことになる根本理由です。生命にはDNAの狂いが増殖することを酵素で防ぐ機能がありますが万能ではありません。したがって低線量の被曝でも癌などにかかるロシアンルーレット式の危険が生じるのです。


 そして柳澤さんは人類がエネルギーを乱消費する無明に対して警告を発しておられます。

 柳澤さんは般若心経に関する本を出された方で警告には仏教の影響が感じられます。けれども私は仏教に依らずとも、理性の範囲内で原発を止める思想は確立できるように思われました。

 なぜならば分子生物学はダーウィンの進化論と融合し、生命はそして人類はいかに出現したかを説明することに成功しつつあります。進化とは残存する性格をもったものが残存した結果であり、その進化の単位とはDNAだったわけです。そしてその単位であったDNAにはもちろん利己とか利他の意識はなかったにもかかわらず、残存するため多くの生物は他の生物やDNAを共有する他の個体との共生・協力、さらには自己の利益に(表面的には反した)利他性を必然的に持つことになりました。『利己的な遺伝子』で一世を風靡したリチャード・ドーキンスさんが、最近の著書では血縁淘汰(アリ、ハチなどの真社会性)、互恵(吸血コウモリが飢えた個体に自己の血を吸わせるなど)、社会的地位の確認(アラビアヤブチメドリの社会性)といった利他性の進化の要因を挙げているとおりなのです。マーガレット・サッチャーの「社会など存在しない存在するのは個人だけだ」というネオリベラリズム檄は人間を吸血コウモリ以下に貶める妄言だったと断言できます。

 協力ゲームを非協力ゲームに還元する研究思想を、提起した数学者の名前を採ってナッシュ・プログラムと呼びますが、進化生物学は生命系がナッシュ・プログラムの一大実験場だったことを顕わにしました。のみならずナッシュはゲームのルールを変えることによって社会正義が競争と矛盾せずに実現されることを示唆しました(このテーマに関する私の講演が日本数学会HPにアップされているので関心を持たれる方はご笑覧ください)。人類はその兄弟姉妹ともいえる動物と同様に、攻撃性だけではなく利他性も持っており、道徳や倫理は人間性の基盤を持っているといえます。それだけではなく人類は他の種が持っていない理性と文化を所有しており、ナッシュが示唆したようなゲームのルールを新たに創出することができます。私は国際人権宣言など人権の思想はそういったものだと思っています。そして、人類が自分を滅ぼすことができる原子力他の知識を獲得した現代において、人類は自分たちが残存できるルール、すなわち哲学や文化を、意識的に創出せざるをえないと思うのです。これが別に仏教に依存しない私の考えです。

 ともあれ貴重な問題提起をふくむ本を著された柳澤さんに感謝したいと思います。また天候が思わしくなかった中、参加していただいた方たちに厚く御礼申しあげます。

 なおくるま座輪読会は第11番目のテキストとして中野剛志さんの「TPP亡国論」集英社新書を選び、12月16日から輪読を開始します。このことについては別に案内を出したいと思います。


くるま座 : 06:16 : comments (0) : trackback (x)
 「くるま座」第3回総会の報告      金田小夜子

     「くるま座」第3回総会の報告
                       金田小夜子

 10月の秋空は快晴。1日5時から開かれた第3回総会もまた、初頭から天候のようにすっきり爽やかな開会となった。

 田村光彰共同代表の4年の長きに亘る不当解雇への裁判闘争が、完全勝利を収めたが故の高揚気分が漂っていたからだ。森一敏共同代表の市議トップ当選に続く「くるま座」の慶事であり、心から祝意を申し上げたい。



 晴れやかな表情で挨拶を述べる田村代表に、惜しみない拍手と共に花とワインが、大森・中野の両会員から贈呈された。御本人は勿論、当初から支えてこられた支援者森一敏、半沢英一、松井潔等の会員にも深い敬意を表したい。弁護士の指導の下、膨大な訴状を作成し、緻密な分析と精力的な行動で忍耐強い支援をされた皆様、本当にお疲れ様。

 

 議事進行を、保坂展人の支援者である西本大介世話人が担当し、2010年度の活動報告が森下利夫事務局長以下、各世話人が報告。特に注目の会計報告は、「火の車」の懸念を払拭して、次年度にかなりの額を繰り越すことができた。会費及びカンパが命綱だけに、滞納はご容赦願い、余裕あれば更にご喜捨をお願いし、特に大口出資者の登場を鶴首する次第だ。

 今後の活動方針は森一敏共同代表から提案され、前年度の目標を踏襲しながら、新しく八田與一の事績の批判的検討や、脱原発関連学習会の開催、仮称「市民の放射能測定室」の説立運動への参画が承認された。いずれも大きな課題であるが、その方面の研究者や活動家の協力を得て、地道に歩を進めていきたいし、会員の参加も併せてお願いしたい。



 「くるま座」のホームページの更新や世話人の継続と、盛本芳久県議の新規世話人の承認をいただき、閉会の挨拶後はメインイベントの懇親会に移りといきたいが、間に一番大事なフリー討論の時間を取ったため、会の問題点や展望についての意見が多数出された。

 風邪を押して進行を担った、半沢世話人の穏やかで正確な論点整理に感謝したい。

何せ論客揃いのメンバー故に、「志賀原発再稼働」意見書への見解、モスク建設の是非、地域に開かれた「くるま座」の在り方等の質問が続出、それへの応答と議論で沸騰状態。議論の深化は懇親会でとなり、定刻通り総会は終了し、祝賀会を兼ねた打ち上げに入ったが、祝われるご本人からのビールとお寿司の差し入れには恐縮しきり。ゴチになりまーす。



 26人もの参加者はやはり圧巻で、身動きも取れない中、縫う様に這う様に目当ての論客と相討ちを遂げる人、隣人に機関銃の如く自説披露に及ぶ人、泰然と静かに杯を重ねる人等で、恒例の風景が続いたが、中締めの後も居残りは約10名。ざっくばらんな政治談議から人物描写まで縦横無尽、裏方の苦労も知らずエンドレスの宴が続き、11時過ぎ漸くお開き。



 以上、戯画風にまとめてみたが、臨場感は伝わっただろうか。「くるま座」の前途は洋々というより波浪高しの状態だが、常に陸奥の現実、特に福島原発の現状を踏まえ、彼の地の方々に思いを馳せながら、井上ひさし氏の愛すべき「ひょっこりひょうたん島」の住人のように、我々も波をチャプチャプ掻き分けて、待っている未来を目指したいと切望する。


 「市民の政策研究会」の第三回総会 議案書はここをクリックしてください


くるま座 : 04:13 : comments (0) : trackback (x)
パステルアートを楽しむ会報告  森恵利子

                                 






参加者がそろい、講師の田中さんご夫婦の笑顔の説明で教室をスタートしました。

「パステルから好きな色5色を選んでください。」「紙の上で、粉にします。」「指先に粉をつけて丸を描いていきます。」田中さんの指示通りにみんなが進んでいきます。一つ一つの丸をゆっくりゆっくり描いていくと、指先がほんわりしてとてもいい感じです。

「人のは見ないでね。気にしないでね。」と、田中さんに言われても、ちらっと周りの人を見てしまうのですが、同じ丸でも、大きさ、配色、配置や数で、みんなそれぞれまったく別の絵になっています。びっくりしました。「比べなくていいですからね。みんな本当にすてきになるのです!」という田中さんの言葉を信じて、また、丸を描き続けます。

「できあがったら消しゴムで思うように消してみてください。」いったいどうなっちゃうのかなあ・・・消すには勇気がいりました。

でも、一人一人完成した作品を額に入れて飾って見合うとき、描いた本人は、恥ずかしそうにしているのですが、どの作品も味わいのあるものになっていたのです。

みんなから、「素敵!」、「かわいいね!」、「愛がたっぷり感じられる!」など、声をかけられて、本人もにっこり顔になっていました。

「絵の上手とか下手は関係ないよ。パステル画は誰でも楽しく絵が描けるよ。」前から田中さんに聞いていた言葉通りでした。描いている最中は仕上がりが予想できなかったのですが、でき上がってみると、愛しい作品になっていました。また、描くのも楽しかったけど、おしゃべりも楽しかったです。

2枚目からは、自由素材になったり、型を作って描いたり・・・という、違ったタイプの作品を作らせてもらいました。

お子さんの顔、金魚、人魚、お星様、太陽、雪だるま、薔薇、富士山、ひよこ、夕日、天使等々個性あふれるものになっていました。私も、また、描いてみたいなと思っています。


田中さん、参加者の皆さん、すてきな機会をありがとう!


くるま座 : 19:37 : comments (0) : trackback (x)
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